山笑う

「山笑う」は、春の山の草木が一斉に芽吹き、明るい感じになるようすを表した春の季語です。
明治時代の俳人正岡子規は、『故郷や どちらを見ても 山笑ふ』 と詠んでいます。
笑うと言っても、大声で笑うのではなく淡い微笑みがしっくりきます。寒さがやわらぎ花々が一斉に咲き衣服も軽やかになり農作業を始められる。そんな春のうれしさも込められているように感じます。

ちなみに山を擬人化した表現を用いた季語には、「山滴る」草木の葉で覆われて緑が滴るように見える夏の山をたとえた夏の季語、「山粧う」秋の山が紅葉で色づいた様子を指す秋の季語、「山眠る」冬の山の静まり返った様子を指す冬の季語があり、四季それぞれの特長を表現しています。
日本には季節の移ろいや自然の美をたたえる言葉がたくさんあります。四季の美しさを視覚と言葉から楽しめる日本ってステキですね。