私のイチオシ、紹介します! 『教科書名短篇 家族の時間』
『教科書名短篇 家族の時間』 中央公論新社 編
営業車で移動中、ラジオで教科書に掲載された小説が話題になっていたことから見つけたこの本は、1946年から2016年の中学国語教科書から精選された有名作家14人全16編の作品集です。
病院に入院しているおばあさんが雑木林で出会った小学校3年生の少女に不自由な手で手袋を編むお話、少年が親に頼まれて駅にきっぷを買いに行き窓口でお釣り銭を多くもらい何に使おうか思い巡らす話、赴任してきた若い先生によって認められたことから少年が変わっていくお話など。
小説の中には私の思い出と重なる場面が多くあり、目頭が熱くなるものばかりです。「おふくろの筆法」は、文字など書くのが苦手な母が、父が倒れたことで芯先の丸くなった鉛筆書きの手紙を息子に送るお話で、私の母も似たような鉛筆で母しか読めない文字でノートやカレンダーによく書き込んでいたのを思い出しました。
全作品家族がテーマの短編小説で誰しも共感できる部分があるかと思います。ちょっとした隙間時間にぜひ。
プレゼンター 堀内 重幸