社長の思いつ記
「50kmウォーク」
皆さま、こんにちは。この秋の気温は高めになると予想されていますが、夏がいつまでも暑かったせいか、急に寒くなった気がしませんか。体調にはくれぐれも留意されて、実り多い秋をお楽しみください。
さて、先月当社では若手リーダーづくり研修の最終回が行われました。テーマは「50kmウォーク」です。指導にあたってくれた先生には、ここまでの研修が、「社員さんは仕方なくお付き合いしている」と見えていたようです。言ってみれば、ふせた茶碗にお湯を注ぐようなものに感じていらした。「会社を変える」ということは「お湯を注ぐこと」ではなく、「茶碗の向きを変えること」と考える先生が最終回に選んだのが50㎞ウォークでした。
場所は諏訪湖。朝8時にスタートし、1周16㎞の諏訪湖を夕方の5時までに3周してくるという難題です。実を言うと、この最終回の決定には紆余曲折がありました。研修は毎月4時間で収まるように予定されていたので、50kmウォークのアイデアが出されたとき、私は「うちは4時間で諏訪湖を1周する16kmで!」と答えました。先生からは、「調整的な原田さんらしい。やったことがないからわからないと思うけど、16kmじゃただのピクニックになっちゃう。50kmだから意味があるんだ。」と言われてしまいます。それでも、私はそう決め切れませんでした。メンバーへの通知は、半日研修を1日に延長した「8時間、諏訪湖2周ウォーク」とするのが精一杯だったのです。このことが先生に知れると、さすがに呆れられましたが、既に社員さんからは「そんな距離を歩いた経験がないことへの不安」「翌日も仕事の平日に開催することへの疑問」などの声が伝わってきています。私は「今さら、3周なんて言えません!」と言うしかありませんでした。
いよいよ当日です。参加者はあらかじめ決めた4人1組のチームで歩くルールです。チーム内でリタイア者が出たらチームとしては競技終了、歩けるメンバーは個人として歩き続けて下さい。そんなスタート前の説明に続いて先生からは、「今から夕方5時までに諏訪湖を3周だよ!50kmには2km足りないけど、僕は小さいことは気にしないから、そこは負けてあげるね。では、準備できたチームからスタートしていいよ!」「???」
スタート直前に諏訪湖2周が3周に変わってしまいましたが、冗談と思ったか、その点を質問する人もなく、みんな笑顔で諏訪湖ウォークは始まりました。朝8時にスタートし、午後5時に終了するということは、1周を3時間で歩く計算です。私のチームは男性のみで、最初の1周をほぼ3時間で歩いたので、このペースが維持できれば目標は達成できます。後はペースが落ちるか、身体にガタが来てリタイアするか、未踏の世界です。
それぞれのチームに様々なドラマがあったことはここでは触れませんが、4チームのうち2チームが3時間以上を残して3周目に入り、遅れた2チームも、残り2時間を切っているのに、3周目を歩くことを選択しました。体力がギリギリの状態が見て取れ、時間内にも終われないのに、それでも笑顔で「ゴールしたい!」と言う彼らを、先生は止められなかったと述べています。
終わった今でも信じられませんが、この研修では先生がゴール数Km前で止めさせたメンバー1人を除いて、 全てのチームが完歩しました! 最後に先生から言われたのは、「トイレに行く時間もないほどハードな研修を続け、身体もボロボロになり、しかも売上もない! それなのにみんな満面の笑顔で仲間をたたえ合っているのは自分に勝った(ベストを尽くしきった)からだよ! 部下に大変なことをさせることが良くないのではなく、その人たちを勝利者にしない、その人の価値を輝かせないことが良くないのだとリーダーは覚えていてください」
調整するクセの私が16kmと言い、32kmで限界と言い、みんなを輝かせずにいたのです。自分に勝ったみんなからは、「3周なんて聞いてない」の不満より、「やって良かった」の声、声、声。リーダーとして、もっとも学ぶべきなのは私だったと振り返るリーダーづくり研修の最終回なのでした。
プラスデコ代表 原田 学
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